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大乗仏教の思想が説かれたお経『般若心経』を唱えてみよう!

2019年02月01日

短い経文のなかで仏教の基本となる教えが学べる『般若心経』。

よく写経の題材にも選ばれているお経であり、

仏教のいくつかの宗派でも唱えられています。

今回は、大乗仏教の中心となる教えが説かれた

『般若心経』についてお伝えします。

仏像のことをさらに深く知りたいとき、

ぜひ仏教の思想にも触れてみてください!

『般若心経』とはどんなお経?

『般若心経(はんにゃしんぎょう)』とは、

大乗仏教の教えが説かれた短いお経のことです。

日本では仏教徒だけでなく、非常に多くの方にその名前を知られています。

般若心経を唱える仏教の宗派がいくつかあるだけでなく、

短いお経であるため写経の題材としてもよく用いられています。

 

こちらのお経は、

サンスクリットでは「プラジュニャーパーラミター・フリダヤ」

という名前で呼ばれています。

 

仏教の中心ともいわれる、「空(くう)」の思想が伝えられています。

空とは、実体がないこと。

たった300文字にも満たない短い経文のなかで、

非常に重要な考え方が説かれているのが特徴です。

 

日本における正式名称は『般若波羅蜜多心経(はんにゃはらみったしんぎょう)』です。

中国の僧侶である玄奘(げんじょう)が、インドへ旅をして持ち帰り、

編纂した経典のうちのひとつだと伝えられています。

ちなみに、この玄奘は『西遊記』の登場人物である三蔵法師のモデルとも言われる、

有名な僧侶です。

 

『般若心経』と大乗仏教

般若心経は、「大乗仏教」の教えが説かれたお経です。

大乗仏教は、小乗仏教とともに、仏教の二大流派に数えられています。

どちらもブッダを開祖とする流派です。

 

大乗仏教では、仏教を信仰していれば、どんな人でも救われるという考え方をします。

そもそも「大乗」という言葉には、“大きな乗り物”という意味があるのです。

大乗仏教はすべての人を救い、すべての人に開かれています。

 

この大乗仏教の経典は『大乗経典』と呼ばれ、

長い年月をかけて編纂されました。

『般若心経』はこのうち初期の経典であり、

600巻もある『般若経』をまとめたものだと伝えられています。

ほかにも、初期に成立した経典としてよく知られているものに

『法華経』や『華厳経』があります。

 

『般若心経』を唱えてみよう

『般若心経』に興味を持った方は、お経をお唱えしてみましょう。

般若心経

ぶっせつ まかはんにゃはらみたしんぎょう

仏説 摩訶般若波羅蜜多心経

 

かんじざいぼさつ ぎょうじんはんにゃはらみたじ しょうけんごうんかいくう

観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空

 

どいっさいくやく しゃりし しきふいくう くうふいしき しきそくぜくう

度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空

 

くうそくぜしき じゅそうぎょうしき やくぶにょぜ しゃりし ぜしょほうくうそう

空即是色 受想行識 亦復如是 舎利子 是諸法空相

 

ふしょうふめつ ふくふじょう ふぞうふげん ぜこくうちゅう

不生不滅 不垢不浄 不増不減 是故空中

 

むしき むじゅそうぎょうしき むげんにびぜっしんい むしきしょうこうみそくほう

無色 無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法

 

むげんかいないしむいしきかい むむみょうやく むむみょうじん ないしむろうし

無眼界乃至無意識界 無無明亦 無無明尽 乃至無老死

 

やくむろうしじん むくしゅうめつどう むちやくむとく いむしょとくこ

亦無老死尽 無苦集滅道 無智亦無得 以無所得故

 

ぼだいさつたえ はんにゃはらみたこ しんむけいげ むけいげこ

菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 心無罣礙 無罣礙故

 

むうくふ おんりいっさいてんどうむそう くうぎょうねはん さんぜしょぶつ

無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃 三世諸仏

 

えはんにゃはらみたこ とくあのくたらさんみゃくさんぼだい こちはんにゃ

依般若波羅蜜多故 得阿耨多羅三藐三菩提 故知般若

 

はらみた ぜだいじんしゅ ぜだいみょうしゅ ぜむじょうしゅ ぜむとうどうしゅ

波羅蜜多 是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪

 

 

のうじょいっさいく しんじつふこ こせつはんにゃはらみたしゅ

能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多呪

 

そくせつしゅわつ ぎゃてい ぎゃてい はらぎゃてい はらそうぎゃてい

即説呪日 羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦

 

ぼじそわか はんにゃしんぎょう

菩提薩婆訶 般若心経

 

仏教の教え「空(くう)」とは?

『般若心経』では、仏教の教えである「空(くう)」が説かれています。

具体的には、お経のなかの「色即是空空即是色」の部分に、空の思想が登場します。

 

ここでは、「色」とは形あるもの、「空」とは形ないもの、無心のものとされています。

形がないものの存在を示すのが、「空」というわけです。

 

『般若心経』では、形あるものだけでなく、人間が思うことや行うことなども、

また「空」であると説かれています。

人が執着するさまざまな物には、実は実体がないのです。

生きるうえで感じる、あらゆるこだわりにも、実体はありません。

 

そこで説かれているのは、なにかにこだわったり、

苦しんだりする人間の心の動きにとらわれている状態から、

開放されるような考え方です。古くから伝わるお経ですが、

現代を生きるわたしたちにも響くものがあるとわかります。

 

このように『般若心経』の教えの意味を知ると、

お経を唱えるときの自分が少し変わってくるのではないでしょうか?

 

***

仏教の経典のなかでも、日本の民間でもよく親しまれている『般若心経』。

そこで説かれている思想は、古くから人々が生きる助けになってきましたが、

同じように現代人にも通じるものがあります。

仏像を通して仏教に興味を持った方も、ぜひ『般若心経』をお唱えしてみてください。

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